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2022.08.18|インフラ
迫る2025年の崖。
レガシーシステムの改修には回線の見直しも【後編】
前編では、クラウド・オンプレミスの特徴からそれぞれの違いや、クラウドの接続回線パターンの一つである「インターネット利用によるクラウド接続(インターネット経由)」について解説いたしました。
後編では、VPN利用による接続と非インターネット経由による接続のメリット・デメリットについてお伝えしていきます。
1.クラウドの接続回線パターン
インターネットVPN利用によるクラウド接続(インターネット経由)
安価で手軽なインターネット接続では、情報の改ざんや通信の傍受といったセキュリティリスクが避けられませんが、リスクをより低く抑える手段としてインターネットVPN接続があります。
VPN接続とは
VPNは接続元と接続先の間にトンネルを構築し、"仮想的な専用線"を作る技術です。仮想的な専用線は、通信を暗号化してまさにVPNのバーチャルプライベートネットワークという名の通り、プライベートな空間を構築します。そのためセキュアな接続を実現し、通信に対するセキュリティが強くなります。
一方で、デメリットもあります。あくまでもインターネット経由での仮想的な専用線を実現しているため、不特定多数が利用するインターネットに対するセキュリティとしては不十分となり、まだまだセキュリティリスクがつきまといます。
また、インターネットを通している通信キャリアの影響も受けるため、通信速度が一定ではないなど、VPNによる接続でも回線影響により安定した通信が実現できません。
閉域網/専用線を利用したクラウド接続(非インターネット)
非インターネット経由でクラウドへ接続する方法としては、閉域ネットワーク接続と専用線接続があります。
閉域ネットワーク接続とは
通信キャリアが提供しているサービスです。こちらはインターネットと物理的・論理的に分離しているネットワークとなるため、限られたユーザーのみが利用するネットワークとなります。
不特定多数のアクセスがあるインターネット接続とは異なり、外部からの攻撃を受ける心配がないため、高セキュリティを担保することが可能です。さらに、通信速度についても遅延がほとんどない安定した通信となります。
専用線接続とは
2拠点間の利用者専用ネットワーク接続となります。こちらは専用利用が可能なため、セキュリティリスクが無く、高品質高帯域が保証されています。
どの接続方法が最適なのか見極めるポイント
安定した通信と強固なセキュリティを求める企業は、クラウドとの接続に閉域/専用線接続を利用するのが一般的となりますが、インターネット接続に比べてコストは高くなります。
ネットワーク構成やアクセス回線、接続方法(専用型・共有型)、利用できる帯域などは通信キャリアによってサービス内容や費用が異なるため、自社の要件にあった最適な回線を選ばなければなりません。
コストを抑えたい場合はインターネット経由、高いセキュリティ・通信品質を求める場合は非インターネット経由のものを選ぶと良いでしょう。
インターネット | インターネットVPN | 閉域網/専用線 | |
---|---|---|---|
セキュリティ | × |
△ |
○ |
品質 | × |
× |
○ |
費用 | ○ |
△ |
× |
2.まとめ
レガシーシステムの脱却に向けた最良の選択を
経済産業省によると、2025年は以前から言われているIT人材不足のほかに基幹システム開発者の退職や各種Windowsサポートの終了など、システムの刷新に注力すべき節目の年となり「2025年の崖」とも言われています。
特にソフトウェアのアドオンやカスタマイズを積み重ね複雑化した基幹システムは「レガシーシステム」と呼ばれ、技術的にもコスト的にも負担が重く、各企業に対応の波が押し寄せています。
そのレガシーシステムの対策の一つとして、クラウドの活用があり、接続方法も見直す必要があります。オンプレミスからクラウドへの切り替えに伴い、回線を検討してみてはいかがでしょうか?