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2022.08.18|インフラ

迫る2025年の崖。
レガシーシステムの改修には回線の見直しも【前編】

迫る2025年の崖。レガシーシステムの改修には回線の見直しも【前編】迫る2025年の崖。レガシーシステムの改修には回線の見直しも【前編】
増え続けるオンプレミスから
クラウドへの移行

クラウドの登場で、近年のシステム開発環境は大きく変わってきているように思います。
経済産業省は、2025年までに複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システムを刷新しなければ多大な経済損失が生じる可能性があると言われる「2025年の崖」への対応を提言しており、見直す企業が増えてきているようです。

一昔前までは、ITシステムを構築するためにサーバーやストレージなどの機材を調達して自社内への設置、もしくはデータセンターなどの自社設備外への機器設置のオンプレミスの環境のみでしたが、機材調達が不要であるクラウドの登場で、オンプレミス以外の選択肢が出てきました。
これにより、システムの開発環境として今はオンプレミス環境、クラウド環境のどちらかを選択することになります。

本記事では、クラウド・オンプレミスの特徴からそれぞれの違い、クラウド移行の際に知っておきたい回線の接続方法など詳しく解説していきます。

1.2025年の崖とは

2025年の崖とは、日本企業がDXを推進できなかった場合、2025年以降、年間最大12兆円の経済損失が見込まれ、日本の経済成長が妨げられるという経済産業省によるレポートです。

その背景に、下記の問題などが挙げられます。

  • レガシーシステムの限界(部署ごとに過剰なカスタマイズがされて複雑化・ブラックボックス化した既存システム)
  • 既存システムの弊害によるDXの抑止
  • ベンダー依存の体制、ベテラン社員の退職
  • OSサポートの終了

システムの保守・運用に人材が割かれることにより、経営面・人材面・技術面に多大な負荷がかかってしまう恐れがあります。

参考:DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~ | 経済産業省

2.クラウド、オンプレミスについて

オンプレミスとは

オンプレミスとは、自社で保有する設備でサーバーなどを運用することを指し、自社運用やオンプレと呼ばれることもあります。

オンプレミスのメリットとして、柔軟にカスタマイズしやすく強固なセキュリティ環境を維持できることが挙げられます。一方で、機材の調達や構築に時間がかかったり、機材のサポート切れにより、リプレースの手間がかかったりするなどのデメリットもあります。

コストにおいても機材調達時に将来の需要を考慮する必要があるため、予測・検討不足によるリソースのショートや必要以上のリソース確保によるコスト増の懸念があります。

クラウドとは

クラウドとは、外部の事業会社が保有する設備でサーバーなどを運用する方法です。
クラウドのメリットとしてオンプレミスで用意が必要だった機材が既に整っているため、機材調達がなく即時にシステム構築ができます。

近年、ビジネスシーンにおいてBCP/DR(Disaster Recovery:ディザスタリカバリ)対策やコスト削減効果、スピーディな環境構築を求めてクラウド環境の導入や移行に踏み切る企業が増えています。

既存のシステムをクラウドへ移行した場合、ソフトウェアの対応は継続的に必要となる場合もありますが、基盤側の作業がなくなるため、オンプレミスでデメリットが大きかったリプレースやリソースの部分でのデメリットが小さくなります。

オンプレミスとクラウドとでは、構築後の運用でもクラウドの方に利点があります。
例えば、オンプレミスでは非常に対応が難しかった繁忙期のみのリソース拡張、繁忙期外でのリソース縮小など、実現の難しいリソースの自由な利用がクラウドでは可能となり、従量課金の仕組みにより適切なコストでのサービス展開が可能となります。

3.社内システムをクラウドに移行するときの注意点

オンプレからクラウドへの移行は以下につながります。

  • ハードウェアの運用負担の軽減
  • コスト削減(不要な投資の削減)
  • 機器調達の時間、不自由なリソース(アイテム)のカット

オンプレミス環境よりも十分なメリットがあるクラウド環境ですが、クラウド環境はインターネット環境からの利用になるので、アクセスもインターネットを利用することになります。

自社内で管理できる物理サーバーのオンプレミスから、実体がない仮想サーバーのクラウドへデータを置くようになると、インターネット経由でのアクセスとなるため、セキュリティ面で非常に注意が必要となります。

4.クラウドの接続回線パターン

インターネット利用によるクラウド接続(インターネット経由)

インターネット利用によるクラウド接続(インターネット経由) インターネット利用によるクラウド接続(インターネット経由)

インターネット経由でオンプレミス環境からクラウドへアクセスする場合、最もシンプルなものがインターネット接続を利用する方法です。
インターネットでサーバーにアクセスできる状態であれば、様々なリソースの中から必要なサービスを選択できます。手軽に安価で使えますが、その分セキュリティ対策が必要となります。

インターネット自体にセキュリティはないので、クラウドを利用する場合でもセキュリティの確保は利用する側や利用するもので補う必要があります。

通常のオンプレサーバーの場合、HTTPS/SSHなど暗号化されている通信を利用しセキュリティを担保しての接続となりますが、クラウドでも同様です。
例えば、クラウド側の設定でサーバーの前にファイアウォールを構築して不要な通信ポートを塞いだり、接続元のIPアドレスを制限したりといった対策となります。

しかし、インターネットにさらされている以上、通信の傍受や外部からの攻撃など近年様々な攻撃方法が出てきているため、こちらのアクセス方法はセキュリティリスクがかなり高いと言えます。

5.前編まとめ

前編では、クラウド・オンプレミスの特徴からそれぞれの違いや、クラウドの接続回線パターンの一つである「インターネット利用によるクラウド接続(インターネット経由)」について解説いたしました。

後編では、引き続きクラウドの接続回線パターンをご紹介します。VPN利用による接続と非インターネット経由による接続のメリット・デメリットについてまとめておりますので、ぜひ合わせてご覧ください。

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