導入リードタイムを大幅に短縮
専門性の高い海外向けディクテーションシステムのクラウド化
事例|OMデジタルソリューションズ株式会社 様
「ODMS Cloud」システム開発プロジェクト

課題
- オンプレミス型システムによる導入負荷の高さ
- 担当割り当てなど操作・設定の複雑さ
- ライセンス管理の運用負荷
効果
- 導入時におけるリードタイムの大幅短縮
- 操作性の向上と運用面の大幅な柔軟性の向上
- ライセンス割り当ての自動化など、ライセンス管理の効率化
ポイント
- 特殊なビジネス領域に対する深い理解
- Microsoft Azure環境での開発の知見
- プロジェクト特性に応じた柔軟な開発アプローチ
- GDPRなどの規制に準拠したセキュアなシステム構築への対応
概要
OMデジタルソリューションズ株式会社様は、オリンパス株式会社のカメラ、録音機、双眼鏡などの映像・音響事業を継承し、2020年に設立されました。長年にわたり培ってきた光学・音響技術を基盤にさまざまな業界の課題解決を支援しており、ボイスレコーダーなどの録音機は国内で10年連続シェアNo.1を誇ります。
同社の音声事業にて、海外展開する医療・法律機関向けディクテーションワークフローシステムは、オンプレミス環境における導入負荷などの課題を抱えており、システム全体の見直しを進める必要がありました。
これらの課題を踏まえ、弊社はアジャイルの考え方を取り入れたプロジェクト運営のもと、クラウドを活用した新システム「ODMS Cloud」の開発をご支援。また、その後の運用も担当しております。本記事では、開発での工夫や導入後の効果、運用について詳しくご紹介します。
ご担当者様
OMデジタルソリューションズ株式会社
OMイノテックスビジネスユニット
ボイス&サウンドソリューション
Vice President
池田 真祥 様

OMデジタルソリューションズ株式会社
OMイノテックスビジネスユニット
ボイス&サウンドソリューション
三浦 啓彰 様

OMデジタルソリューションズ株式会社
OMイノテックスビジネスユニット
ボイス&サウンドソリューション
大西 孝史 様

きっかけ
業務負荷の軽減を目指し、クラウド技術を活用した新システム開発へ
― 今回「ODMS Cloud」開発に至った背景をお聞かせください。
池田様:
当社は海外向けに、ディクテーション(口述筆記)のワークフローシステムを提供しています。日本ではあまりなじみがありませんが、欧米では医師や弁護士といった専門職の方々が業務の内容を音声で録音し、それを秘書など専門の方が文字起こし(トランスクリプション)をするという文化が根付いています。
三浦様:
これまで、私たちはこのワークフローシステムをオンプレミスで提供していました。しかしオンプレミスだと、お客様側でサーバーを構築し、PCにソフトウェアをインストールする必要があったため、システム導入作業は非常に手間のかかるものでした。
また、文字起こしの担当割り当ての操作が非常に複雑でした。特に、担当者の急な体調不良などで再割り当てが必要になった際の操作が煩雑で、運用面の大きな課題となっていました。
さらに、ライセンス管理にも課題を抱えていました。従来の仕組みではライセンス期限が分かりづらく、気づいた時には有効期限が切れてしまっているケースがあり、ユーザーの業務に支障をきたす恐れがありました。くわえて、ライセンスのお申込みや更新作業が手動で行われていたため、お客様側・当社側いずれにとっても負担が大きく、運用の安定性を確保しにくい状況が続いていました。
こうした課題を包括的に解決するとともに、時代の変化に対応しながらビジネスを広げていくためにも、クラウド上でデータベース技術を活用した新システム開発が不可欠であると判断しました。
選んだ理由
深い理解力と技術力がある信頼できるパートナー
― 今回、ベンダー選定にあたって、特に重視されたポイントはどのようなものでしたか。
三浦様:
1つ目は、”物理的な在庫のように扱える”ライセンス管理システムを構築していただくことです。代理店や販売店が在庫数を把握し易くなることで、お客様からのお申込みに迅速に対応でき、販売機会の損失を防ぎ、リードタイムの短縮に繋がると考えていました。
2つめは、主なターゲットが欧州・米州・豪州のお客様のため、GDPR(EU一般データ保護規則)などのプライバシー規制に準拠した設計に対応できることです。医師の診察情報や法律文書など秘匿性の高いデータを扱うため、個人データの保存場所を明確にし、各国内で完結するような構成に対応いただくことが前提条件でした。
― 複数の選択肢がある中で、ソニーネットワークコミュニケーションズをお選びいただいた理由を教えてください。
三浦様:
海外ベンダーも含めて5社程度を比較検討しました。その中でソニーネットワークコミュニケーションズを選んだ理由は、日本ではなじみの薄いディクテーションワークフローでありながら、その理解度が高かったからです。要件をお伝えしただけでは分かりづらい領域にも関わらず、深く調査し、十分に理解を深めてくださっていました。そのため、この会社であれば開発を円滑に進められると判断しました。
また、コストやスケジュール、Microsoft Azureに関する知見、多言語対応といった点に加え、継続的にお付き合いできる企業としての基盤や体力も評価しました。
プロジェクト内容
2社の連携による効率的な開発プロセス
― 開発プロセスで、特に工夫された点をお聞かせください。
大西様:
この事業は、代理店や販売店などステークホルダーが多く、それぞれ必要とする機能が異なります。当初は役割ごとに個別の画面を制作する計画でしたが、予算を大きく超過する見込みだったため、対応方針の再検討が必要になりました。
そこでソニーネットワークコミュニケーションズと何度も協議し、特に工数のかかる機能を中心に見直しました。その結果、必要な機能に絞りこみ、画面を共通化することで予算内での開発を実現しました。
また弁護士など法律関係者向け音声認識による自動文字起こし機能を開発する際には、当社レコーダのディクテーション用音声フォーマットが特殊だったため、汎用フォーマットに変換する必要がありました。このため、当社が音声ファイルの変換処理を開発し、ソニーネットワークコミュニケーションズがサーバー構築を担当するなど、役割を分担し最適な体制を組みました。
2社で連携しながら効率的に開発を進めることによって、コスト削減につながりました。
柔軟で透明性の高いプロジェクト運営
― ソニーネットワークコミュニケーションズとの協働で印象的だったエピソードはありますか。
大西様:
アジャイルの考え方を取り入れた、柔軟な開発スタイルの提案です。2週間ごとに進捗が共有され、計画に変更が出そうな場合はリカバリー対策も含めて報告していただいたことで、安心して開発を進められました。さらに、開発終了後はユーザー受け入れテスト期間を設け、現地法人からのフィードバックに対しても柔軟に対応していただきました。
これまで、他社との開発ではウォーターフォール型で発注して出来上がりを待つケースが多く、中間報告があっても今回ほど細かくはありませんでした。それぞれの機能にどれくらいのコストがかかっているか、進捗状況を視覚的に見せていただけたのは他とは違う点でした。
導入後の効果
導入期間を大幅短縮し、運用の柔軟性を実現
― 新システム導入後の効果についてお聞かせください。
三浦様:
最も大きな効果は、サービス導入リードタイムが大幅に短縮されたことです。新システムでは、アカウントを登録などの簡単な操作だけで、数十分で利用を開始できるようになりました。従来はサーバーの立ち上げやお客様PCへソフトウェアをインストールするなどが必要であり、利用開始までに約1か月かかっていたことを考えると、非常に大きな改善です。
また、文字起こしの担当割り当ても大きく改善されました。従来は複雑な操作が多く、開発に踏み切った理由のひとつでもありましたが、新システムでは管理画面上で対象者を選ぶだけで割り当てが完了します。複雑だった操作がシンプルになり、現場の負担が大幅に軽減されました。
くわえて、クラウド化したことによって、ブラウザからログインすればどこからでも操作できるようになり、作業環境も大きく広がりました。従来のオンプレミス環境では、ソフトウェアをインストールした特定のPCでしか操作できず、作業場所が限られていたため、必要なときにすぐ対応できないこともありました。現在は自宅などでも操作が行えるため、運用の柔軟性が大きく向上しています。
ライセンス管理もクラウド上でできるようになり、ユーザー自身がライセンスの期限や利用状況を直感的に把握できるようになりました。期限が近づくと、自動通知が届くため、更新忘れによるサービス停止のリスクを大幅に抑制できます。
さらに、購入済みのライセンスを保有している場合は、期限到達と同時に自動で次のライセンスへ切り替わる仕組みを導入し、業務が途切れない運用を実現しています。ライセンスの発行・更新手続きもオンライン化され、お客様側・当社側双方の負担もなくなりました。こうして、ライセンス管理全体がよりスムーズで効率的になりました。
一方で、従来のシステムは長年のアップデートしてきた中で細かな機能が膨大にありました。私たちが今回開発した新システムでは機能を絞ったため、シンプルで使いやすいという評価がある反面、従来あった機能についてお客様から復活要望があるため、継続的に改善を進めています。
海外展開を支える、安定した運用と安心のサポート
― 運用についてはいかがですか。
三浦様:
非常に品質が高く、これまでサービス停止などのトラブルもなく、安定した運用を継続できています。
また、サポート体制についても安心感があります。当社は日本企業ですが、本サービスは海外向けに提供しているため、日本の長期休暇中の対応が課題となっていました。こうした状況を踏まえ、ソニーネットワークコミュニケーションズには、万一のときの連絡体制を整えていただいており、“何かあってもお客様をお待たせしない体制”が構築できていると感じています。
池田様:
ディクテーションの事業は、当社内でも他の部署からは実はなかなか理解されていません。ソニーネットワークコミュニケーションズは、日本には市場が存在しないこの事業を深く理解したうえで、最適なシステム運用をおこなっていただいています。非常に優秀な方々だと感じております。
今後の展望
生成AIとの融合で目指す次世代のサービス
― 今後の機能拡張や事業展望についてお聞かせください。
池田様:
これだけ変化の激しい時代なので、従来のやり方に固執することへの危機感を抱いてクラウド化を決断しましたが、その選択は間違っていなかったと実感しています。また、お客様に満足していただく為に、世の中のトレンドに合わせたサービスを提供することが必要です。例えば生成AIによる要約機能など、人間でもできるけれどAIに任せた方が早いというサービスなどへの取り組みは重要だと感じています。
三浦様:
今後は生成AIの活用も視野に入れています。現在は従来からのお客様が中心ですが、今後は新たなユーザー層にも選んでいただけるよう、最新技術を積極的に取り入れながら、サービスの価値をさらに高めていきたいと考えています。
― ソニーネットワークコミュニケーションズとの共創に対する今後の期待をお聞かせください。
大西様:
どのようにAIをお客様にご提供するかはアイデア次第だと思いますが、当社が「こういうものをやりたい」と持ちかけると、ソニーネットワークコミュニケーションズは常に「こうした方が良い」と提案をしてくださるので、今後もその点に期待しています。
Outline
- クライアント
- OMデジタルソリューションズ株式会社 様
- 業種
- 製造
- 従業員数
- 連結 1,950名(2025年3月時点)
- 課題
- アプリの開発をしたい | ネットワーク・インフラ整備をしたい
- 提供サービス
- アプリケーション開発 | プラットフォーム設計(AWS/Azure/GCP)
- プロジェクト期間
- 約36か月


弊社担当からのコメント
プロジェクトマネージャー | Okuzawa
本案件は、顧客のビジネス価値を最優先した要件への深い理解が不可欠でした。その上で、お客様と協力して画面共通化や作業分担を行い、コストの最適化を実現しました。また、透明性の高いアジャイルな進行はお客様の安心感に繋がり、サービス開始以来、高い品質で安定稼働を維持できています。今後は生成AI活用など、次世代の挑戦にも信頼されるパートナーとして伴走してまいります。